美空ひばり全曲集 鏡

美空ひばり 美空ひばり全曲集 鏡歌詞
1.鏡

作詞:藤田まさと
作曲:猪俣公章

男こごろは うそばかり
うそに女は 泣くばかり
すがる 甘える だまし合う
女が泣く時ゃ 鏡もくもる
そんな鏡を くもる鏡を
誰がふく

生きるささえが 恋ならば
恋はいのちを 閉じるまで
咲いてしぼんで 散って行く
花より私は 幸せなのよ
それを鏡に 今日も鏡に
言いきかす

うつす鏡の 奥深く
数えきれない 夢がある
泣いた笑った 生き抜いた
あの夢 この夢 私の人生
それが鏡に うつす鏡に
よみがえる


2.みだれ髪

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

髪のみだれに 手をやれば
赤い蹴出(けだ)しが 風に舞う
憎くや 恋しや 塩屋の岬
投げて届かぬ 想いの糸が
胸にからんで 涙をしぼる

すてたお方の しあわせを
祈る女の 性(さが)かなし
辛(つ)らや 重たや わが恋ながら
沖の瀬をゆく 底曳(そこび)き網(あみ)の
舟にのせたい この片情(かたなさ)け

春は二重(ふたえ)に 巻いた帯
三重(みえ)に巻いても 余(あま)る秋
暗(くら)や 涯てなや 塩屋の岬
見えぬ心を 照らしておくれ
ひとりぼっちに しないでおくれ


3.哀愁出船

作詞:菅野小穂子
作曲:遠藤実

遠く別れて 泣くことよりも
いっそ死にたい この恋と
うしろ髪ひく 哀愁出船
涙かみしめ ゆく潮路

こんな冷たい あなたのしうち
それがうらめぬ あたしなの
霧笛一声 哀愁出船
つきぬ思い出 波に散る

そうよいつかは 判ってくれる
せめて儚い 空だのみ
別れおしんで 哀愁出船
涙堪えて みる潮路


4.伊豆の踊り子

作詞:木下忠司
作曲:木下忠司

三宅出るとき 誰が来て泣いた
石のよな手で 親さまが

まめで暮せと ほろほろ泣いた
椿ほろほろ 散っていた
散っていた

絵島生島 別れていても
こころ逢島(大島) 燃ゆる島

おらが親さま 離れていても
今度逢うときゃ 花も咲く


5.やくざ若衆祭り唄

作詞:米山正夫
作曲:米山正夫

これはお楽しみ
江戸は神田の 若い衆
喧嘩買おうか
目にもの見せようか
祭りなら着ておいで
派手な元禄 大たもと
アー レー サー 花が散るような
神田明神 スチャラカチャン
チャンチキおかめの 笛太鼓
花にもまれて
エー 山車が行く
それ ワッショイワッショイ

チョイト 待ちなせえ
そこのいなせな 若い衆
腕が見たけりゃ
ずんと 抜いて見せようか
みこしなら 肌ぬいで
向う鉢巻 紅だすき
アー レー サー 酒が降るような
神田明神 スチャラカチャン
チャンチキおかめの 笛太鼓
花にもまれて
エー 山車が行く
それ ワッショイワッショイ


6.芸道一代

作詞:西條八十
作曲:山本丈晴

いのち一筋 芸一筋で
勝つか負けるか やるだけやるさ
女黒髪 きりりとかんで
仰ぐおぼろの 仰ぐおぼろの
月の色 月の色

女一人で 生きぬくからは
ふまれけられは 覚悟の前よ
姿見せずに 泣くほととぎす
女心を 女心を
誰が知ろ 誰が知ろ

小粒ながらも ひばりの鳥は
泣いて元気で 青空のぼる
麦の畑の 小さな巣には
わたし見ている わたし見ている
母がある 母がある


7.柔

作詞:関沢新一
作曲:古賀政男

勝つと思うな 思えば負けよ
負けてもともと この胸の
奥に生きてる 柔の夢が
一生一度を
一生一度を 待っている

人は人なり のぞみもあるが
捨てて立つ瀬を 越えもする
せめて今宵は 人間らしく
恋の涙を
恋の涙を 噛みしめる

口で言うより 手の方が早い
馬鹿を相手の 時じゃない
行くも住(とま)るも 座るもふすも
柔一すじ
柔一すじ 夜が明ける


8.人生一路

作詞:石本美由紀
作曲:かとう哲也

一度決めたら 二度とは変えぬ
これが自分の 生きる道
泣くな迷うな 苦しみ抜いて
人は望みを はたすのさ

雪の深さに 埋もれて耐えて
麦は芽を出す 春を待つ
生きる試練に 身をさらすとも
意地をつらぬく 人になれ

胸に根性の 炎を抱いて
決めたこの道 まっしぐら
明日にかけよう 人生一路
花は苦労の 風に咲け


9.港町十三番地

作詞:石本美由起
作曲:上原げんと

長い旅路の 航海終えて
船が港に 泊る夜
海の苦労を グラスの酒に
みんな忘れる マドロス酒場
ああ港町 十三番地

銀杏並木の 敷石道を
君と歩くも 久しぶり
点るネオンに さそわれながら
波止場通りを 左にまがりゃ
ああ港町 十三番地

船が着く日に 咲かせた花を
船が出る夜 散らす風
涙こらえて 乾杯すれば
窓で泣いてる 三日月様よ
ああ港町 十三番地


10.真赤な太陽

作詞:吉岡治
作曲:原信夫

まっかに燃えた 太陽だから
真夏の海は 恋の季節なの
渚をはしる ふたりの髪に
せつなくなびく 甘い潮風よ
はげしい愛に 灼けた素肌は
燃えるこころ 恋のときめき
忘れず残すため
まっかに燃えた 太陽だから
真夏の海は 恋の季節なの

いつかは沈む 太陽だから
涙にぬれた 恋の季節なの
渚に消えた ふたりの恋に
砕ける波が 白く目にしみる
くちづけかわし 永遠を誓った
愛の孤独 海にながして
はげしく身をまかす

いつかは沈む 太陽だから
涙にぬれた 恋の季節なの
恋の季節なの…………


11.ポトマックの桜


12.リンゴ追分

作詞:小沢不二夫
作曲:米山正夫

リンゴの花びらが 風に散ったよな
月夜に月夜に そっと え―――
つがる娘は ないたとさ
つらい別れを ないたとさ
リンゴの花びらが 風に散ったよな
あ―――

お岩木山のてっぺんを
綿みてえな白い雲が
ポッカリポッカリながれてゆき
桃の花が咲き さくらが咲き
そっから早咲きの、リンゴの花ッコが咲くころは
おらだちのいちばんたのしい季節だなや―
だども じっぱり無情の雨こさふって
白い花びらを散らすころ
おら あのころ東京さで死んだ
お母ちゃんのことを思い出して
おら おら……

津軽娘は 泣いたとさ
つらい別れを 泣いたとさ
リンゴの花びらが 風に散ったよな
あ―――


13.悲しい酒(セリフ入り)

作詞:石本美由起
作曲:古賀政男

ひとり酒場で 飲む酒は
別れ涙の 味がする
飲んで棄てたい 面影が
飲めばグラスに また浮かぶ

「ああ 別れた あとの心残りよ
未練なのね あの人の面影
淋しさを忘れるために
飲んでいるのに
酒は今夜も私を悲しくさせる
酒よどうして どうして
あの人を
あきらめたらいいの
あきらめたらいいの」

酒よこころが あるならば
胸の悩みを 消してくれ
酔えば悲しく なる酒を
飲んで泣くのも 恋のため

一人ぼっちが 好きだよと
言った心の 裏で泣く
好きで添えない 人の世を
泣いて怨んで 夜が更ける


14.裏町酒場

作詞:さいとう大三
作曲:竜鉄也

雨にぬれてる 赤い灯が
俺にゃ似合いの 裏町酒場
泣いているのか あの唄も
酔えばおまえの 声になる
よせよいまさら ああ ひとり酒

肩を並べて 飲む夜が
俺とおまえの 幸せだった
夢を落とした盃を
そっと笑って飲んでいた
思い出すのさ ああ ひとり酒

いつかおまえと みちづれに
俺はなろうと 思ったものを
箸の袋に 別れ文字
書いて残して どこ行った
馬鹿な奴だよ ああ ひとり酒


15.川の流れのように

作詞:秋元康
作曲:見岳章

知らず知らず 歩いて来た
細く長い この道
振り返れば 遥か遠く
故郷が見える
でこぼこ道や
曲がりくねった道
地図さえない
それもまた人生
ああ 川の流れのように
ゆるやかに
いくつも 時代は過ぎて
ああ 川の流れのように
とめどなく
空が黄昏に 染まるだけ

生きることは 旅すること
終わりのない この道
愛する人 そばに連れて
夢探しながら
雨に降られて
ぬかるんだ道でも
いつかは また
晴れる日が来るから
ああ 川の流れのように
おだやかに
この身を まかせていたい
ああ 川の流れのように
移りゆく
季節 雪どけを待ちながら

ああ 川の流れのように
おだやかに
この身を まかせていたい
ああ 川の流れのように
いつまでも
青いせせらぎを 聞きながら


16.傷心(いたみ)

作詞:なかにし礼
作曲:猪俣公章

あなたにもらった 手紙をあつめて
紐でむすんで 石をつないで
みずうみに すてました
逢ってさよならしたかった
一緒に泣いて ほしかった
そんな気持ちで すてました

手紙を出しても 帰って来ました
なのにあなたの 愛を信じて
ひたすらに 待ちました
きっと迎えに来てくれる
あなたにかぎって ウソはない
そんな気持ちで 待ちました

あなたと遊んだ 芦の葉かげの
主をなくした 舟をみつめて
ただひとり 泣きました
今度生まれて来るときは
女はもうイヤ つらすぎる
そんな気持ちで 泣きました